『相続税』という言葉をご存知の方は多いと思いますが、相続税の手続きをされたことのある人はごく少数です。
また、頻繁に発生する税金ではないので短い期間で複数行われることも殆どありません。
そのような相続税は知っているけど手続き方法は知らない(わからない)という少し独特な税金ですので、いざ相続税が発生する場合に相談できる場所を説明してきます。
そもそも誰に相談できるの?
相続税に限らず税務署が関係する税金を本人以外の人が代理で作成することは禁止されており、作成可能な人は
・ 税理士資格を保有している人
・ 税務署職員(職務として行う場合に限る)
しかいません。
税理士資格を有する人とは
- 税理士
- 公認会計士
- 弁護士(申請した人のみ)
この3パターンになりますが、実際に依頼する場合は税理士と公認会計士の二択です。
しかし、申告書等の代理作成は資格がないと出来ませんが、一般的な相談であれば誰であっても受けることができます。
(そうでないと大学の教授とかは講義できませんからね(笑))
そうなると相談できる場所として、
- インターネットからの情報
- 税務署に相談
- 税理士・公認会計士に相談
の3パターンとなります。
因みに、同じ税金を扱う仕事でも、市区町村の職員は相続税の知識は無いので注意が必要です。
(相続手続きに関連する仕事を行っている人は多少知識はありますが)
なので、公務員に相談するときは必ず税務署の職員に相談してください。
また、司法書士は登記の名義変更等は行いますが、税理士資格はありませんの注意が必要です。
(税理士資格を保有している司法書士であれば大丈夫です)
インターネット
特殊な税金の相続税ですが、インターネットのみも殆どの情報を保有することは可能です。
しかし、いざ『相続税』と検索しても基礎知識が無いと理解が難しく、国税庁HPに特集コーナーも設けられていますが、納税者の立場で作成されたものとは言い難い代物です。
そのような情報収集が難しいインターネットですが、
- 基礎的な知識は国税庁HPで検索する
- 不明なワードは都度ワード検索を行う
- 作成年月日に注意する
この3点に注意をして情報を集めればある程度精度があるといえます。
基礎的な知識は国税庁HPで検索する
平成30年に国税庁HPが一新された際、旧国税庁HPの画面ループ現象が起こったため話題になりましたが、正直相当使い勝手が悪くなりました。
サイトの項目から調べたい項目に辿り着くのは無理なので、検索欄を活用してください。
不明なワードは都度ワード検索を行う
最近は税理士の方々もインターネットで情報発信をしているため、不明なワードも検索すれば大概は該当します。
不明なワードを確認できましたら国税庁HPで検索してみてください。
作成年月日に注意する
近年相続税の税制改正は多くされています。
大きなところでは、平成27年1月1日以降では相続税の基礎控除額が引き下がりました。
また、特例に関しても条件等が年によって異なりますので、サイトの記事がいつ作成されたかに注意してください。
税務署
税務署に相談する場合には、電話相談と面接相談の2つあります。
税務署の相談は電話相談or面接相談
電話相談
現在税務署に直接電話を掛けると、自動音声による案内が流れます。
自動音声に沿って進むと電話相談室の職員と電話が繋がり、電話相談ができます。
職員ですので何でも回答できる(できなければ)と思われますが、残念ながら相続税を専門とする資産課税部門出身者は全体の1割程度しかいませんので、相続税調査を行うような職員より知識が少ない応対しているのが現状です。
(もちろん資産課税部門出身者は存在します)
なので、電話相談を行う場合は一般的な相談に留めて、個別的な相談は所轄の税務署の資産課税部門(資産課税担当)にしてください。
面接相談
税務署に来署して相談を受ける方法もあります。
しかし、こちらに関しても一筋縄ではいきません。
税務署では一般相談と個別相談のカテゴリーで対応する職員を分けています。
一般相談
相続税を担当する資産課税部門ではなく、管理運営部門が対応します。
(管理運営部門は窓口業務や納税処理をメインとしている部門です)
こちらの部門に関しても相続税を専門としているわけではないので詳細な相談は対応できません。
個別相談
資産課税部門が応対しますが、個別相談は事前予約制となっているため、税務署に予約無で来署しても応対してもらえない可能性が高いです。
現在、税務署では相談専門の職員は存在しないため、予約が1~2か月先埋まっている税務署も多いです。
組織的に調査事務を最優先で考えるため、相談事務には消極的ですが、税務署に相談する場合には必ず時期の余裕をみて予約をしてください。
税理士等
税理士や公認会計士は民間企業ですので、基本的には有料での対応になります。
もちろん最初は無料で応対してくれる税理士等もいるとは思いますが、そこはビジネスです。
しかし、税理士を束ねている組織で税理士会というものがあり、その税理士会は税務署からの要望の下、月一で無料相談会を行っている場合もあります。
無料相談会の出席には予約が必要なので、最寄りの税理士会に確認してみてください。
終わりに
私の税務署での職員人生の中の多くは相談等を行う内部事務に携わってきました。
そこでも痛感しましたが、残念ながら納税者側が的確に情報を得れる手段が非常に乏しいのが現状です。
インターネットの発達により昔より情報を得れる手段は増えましたが、それを自分の知識として活用するには基礎となる知識が必要です。
その基礎知識をまとめて得れる場所を作りたかったので、本サイト目的でもあり動機でもあります。
相続が発生し、相続税について調べる際には、
- インターネットで情報収集
- 不明な部分は税務署に確認
- そこで得た情報を基礎としてまたインターネットで検索する。
この繰り返しが現状での一番有用な作業ですのでお試しください。