人生設計で考える必要があるのが、リスクマネジメントです。
リスクマネジメントとは、リスクが発生した場合の損失に対して、最小の費用で、最大限の効果をあげるための方法を計画し、実行する手段のことをいいます。
リスクコントロールとリスクファイナンシングについて
リスクマネジメントの手法は、は大きく2種類に分類できます。
それが、リスクコントロールとリスクファイナシングです。
・リスクコントロール
リスクそのものを変化させる技術です。
損失の発生頻度や規模を軽減させたり、リスクの予知能力を高めることで、リスク自体を最小限に留めることを目的とします。
例
取引する会社を1か所にすると、取引先が倒産や値上げをすれば影響が非常に大きいです。
しかし、取引先を5か所に増やせば、1か所が倒産しても被害(リスク)は5分の1に減少します。
これが、リスクコントロールです。
・リスクファイナンシング
リスクによってもたらされる、金銭的な影響を最小限にするものです。
例
車を運転して、万が一加害者となれば多額の賠償金を支払うことになります。
大きな事故であれば個人で支払うのは非常に困難になるため、事故に対してのリスクは高い状態となります。
しかし、保険に加入して、保険会社に保険料を支払えば、万が一の事故の補償も可能であり、自身の支出も最小限で留めることができるのです。
個人が関係するリスクと管理方法
個人が関係するリスクは3種類あります。
自分、物、他人です。
自分に関するリスク | 死亡、長生き、病気や傷害 |
---|---|
物に対するリスク | 住まい、自動車、パソコンや備品 |
他人(第三者) | 事故などでの損害賠償 |
自分が病気した場合や死亡したときのリスクを考える
自分自身のリスクで大きいのが病気です。
家族がいない場合であっても、自分が病気でケガをした場合、収入が無い状態となります。
また、扶養する家族がいる場合には、自分が亡くなった時も考える必要があります。
子どもが幼い場合には、10年20年と生活できる金額を確保しないといけません。逆に、子供が独立し、養う家族がいなくなれば、死亡に対するリスクは少なくなります。
代表的なのが生命保険。
生命保険には、入院・手術・病気・死亡など各テーマに沿った保険が用意されています。
自分が所有している物に対してもリスクを考える必要がある
自分が所有する財産に対してもリスク管理が必要です。
自宅であれば、災害や人災(火事や事故)が発生した時の損失を考える必要があります。
また、不動産は多額の金額が必要になるので、購入することに自体にもリスクが生じます。
したがって、自宅を購入せずに、賃貸物件に住むのもリスク管理の一つとなります。
自分がした事故やミスによってのリスクも考える
自動車運転などは、故意・過失関係なく損害賠償を支払うことになります。
事故がなければ、損害賠償も発生しませんので、保険は単なる出費となります。
しかし、万が一の事故が発生した場合に何も準備していない状態は非常にリスクが高い状態です。
特に自動車事故は数千万円や数億円の損害賠償になるケースもあります。
なので、リスク頻度とリスク発生時の影響を考える必要があるのです。
企業が考えるべきリスクと管理方法
個人ではなく、法人(企業)でもリスク管理は大切です。
企業で考えるリスクは、物的・利益と費用・賠償責任です。
物的リスク | 財産、従業員 |
---|---|
利益と費用リスク | 利益を損失するリスク、突発的な費用 |
賠償責任のリスク | 取引先や顧客に対しての損害賠償リスク |
企業が持っている財産に対してもリスク
企業では従業員も財産の一つです。
なので、従業員自身がもつリスクも考える必要があります。
会社の仕事が順調であればリスクは少ないですが、仕事量が減れば、従業員の給料はコストとなります。
しかし、正社員であれば簡単にクビにすることができません。
なので、会社の運営が軌道に乗っているから、むやみに従業員を増やすことは将来的なリスクとなります。
売上をあげる機会を逃すことも十分なリスク
企業が利益を出すには売上を伸ばすしかありません。
言い換えれば、売り上げを伸ばすタイミングを逃すこと自体がリスクとなります。
100人の需要があるのに、商品を70個しか準備しないと本来売れるはずの30個分の売り上げを逃してしまいます。
在庫が20個余っても利益が出るのであれば、120個分の商品を準備することもリスク管理の一つとなります。
顧客や取引先への損害賠償リスク
自動車の部品に欠陥があり、それが原因で利用者が事故に遭えば相当な損害となります。
また、取引先に不良品を渡せば、取引自体が中止になるかもしれません。
ですので、ある程度の費用を出しても最小限の被害に留めるのもリスク管理の一つです。
自動車メーカーのリコールは、修理代や告知の費用は掛かります。しかし、事故が発生した場合のリスクを考えれば、リコールはリスク管理手段の一つなります。